『ロートレック没後120周年記念~ENISHI~』概要
“Le bonheur est parfois caché dans l’inconnu.(幸せは時々、未知の中に隠されている)”
これは、ロマン主義フランス文学の大河小説『Les Misérables(レ・ミゼラブル)』の著者のヴィクトル・ユーゴーが遺した名言ですが、まさにアートとは未知の塊にして無限の可能性を秘めた世界。弊社では、国内のみならず海外の文化にも目を向け、日本芸術の発展に少しでも貢献できるよう、様々な美術様式を模索してまいりました。そこで、辿り着いた1つが、今や世界基準の教養にして、ヨーロッパ諸国で伝統的な芸術ジャンルの一つ “ワインアートラベル”でした。
2021年――日本美術を愛し、その想いを自らの作品へ活かすことで、ポスターを芸術の域まで高めた「偉大なる芸術家」であるアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック没後120周年を迎え、日本芸術作品が“シャトー・マルロメ・トゥールーズ・ロートレック特別限定ワイン”のアートラベルに起用されることとなりました。
この度のアートラベルは、ロートレックが生涯を遂げた蔵元(フランスボルドー地方)シャトー・マルロメによって、本展のために特別醸造された限定ワインにご起用され、シャトー・マルロメを始め、パリのワイン博物館、歴史的建造物指定を受けたベルシー美術館へ収蔵されます。ロートレックの憧れた日本芸術が、ヨーロッパの伝統あるアートラベルとなり、日本・フランス芸術友好交流の象徴として後世に遺されていきます。
さらに本企画では、“ENISHI(縁)”をテーマとして、2021年6月8日~6月10日にかけて、銀座アートホールにて“ロートレック没後120周年記念特別限定ワイン”のアートラベルを額装展示し、一般公開させていただきました。
新型コロナウイルスによって自粛生活が続くなか、ロートレックと現代日本芸術との“縁”から誕生したアートラベルによって、少しでも心安らぐひとときを過ごしていただくこと、皆様に幸せな未来が訪れることを願い開催いたしました。
【開催概要】
■名称:ロートレック没後120周年記念~ENISHI~
■期間:2021年6月8日(火)~10日(木)
■会場:銀座アートホール
東京都中央区銀座8丁目110番地
■主催:国際総合芸術交流協会
International Composite Art Communication Association[ICACA]
『ロートレック没後 120 周年記念~ ENISHI ~』実行委員会
■実行委員会:
実行委員長 美術評論家 長谷川栄先生
実行委員 ベルシー美術館館長 ジャン=ポール・ファヴァン先生
ワイン博物館館長 クロード・ジョス氏
心理カウンセラー 清田予紀先生
株式会社20G代表取締役 笠原善友
■企画・運営:株式会社20G
■後援協力:ティ・シィ・アイ・ジャパン株式会社
株式会社サカエ・ライト
株式会社モンスターズ
■特別協力:シャトー・マルロメ(Château Malromé)
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コロナ禍と向き合った『ロートレック没後120周年記念~ENISHI~』
アートラベルを通じて日仏芸術友好交流の懸け橋となる
昨年より続く新型コロナウイルスの蔓延により、開催時期の延期や中止せざるを得ないか、といった意見が実行委員会の中でもありました。自粛ムードが大勢を占めるなか、芸術の持つ力とは如何なるものか、あらためて考えるいい機会となりました。
芸術とは、いつの時代においても、言葉や老若男女問わず、ひとびとにやすらぎを与え、時には奮い立たせるものであると私たちは信じています。だからこそ、こういった時代においてもアートラベル展覧会を開催いたしました。
2021年6月8日(火)開催1日目
11時に開館した銀座アートホール。受付ではアルコール消毒と検温の実施をさせていただき、マスクの着用といった感染症予防対策を徹底するなか、『ロートレック没後120周年記念~ENISHI~』ワインアートラベルのお披露目が始まりました。
コロナ禍のなか足を運んでくださる方はいるのだろうか、という弊社スタッフの不安とは裏腹に、開館から1時間もたたずに、大勢の皆様がご来館されアートラベルに囲まれ、それぞれの時間を過ごしていただきました。
銀座を散歩中にふらっとご来館された男性にお話を伺ったところ、「日本の芸術家の先生方がワインのラベルになるなんて面白い企画だね、洋画だけがワインに合うと思っていたけど、日本画や書道なんかもこんなに映えるなんて思いもしなかったよ。」と、アートラベル展覧会を楽しんでいらっしゃいました。
これぞまさに、フランスを代表するワインの産地ボルドーで醸造されたワインに、日本の芸術家のみなさまの作品が採用された本企画の醍醐味です。
2021年6月9日(水)開催2日目
開催初日から続く猛暑日のなか、外の熱気に負けず劣らずの活気に満ちた会場内。
車いすの方とともにアートラベルを観に来てくださった方々は作品1枚1枚をじっくりご覧になりながら、目を輝かせていらっしゃいました。
また、短歌や文芸作品の前では何か思いをはせるかのように長時間その場にたたずんでいた姿がとても印象的でした。
お帰りの際に、「自粛生活が続いているなか、久しぶりに温かい気持ちになれたわ。ありがとう。」と仰っていただきました。スタッフ一同、その言葉を耳にしたとき、開催すると決断したことに間違いはなかった と確信することができました。
ところで、なぜロートレックと日本芸術に関係があるのでしょうか。
本展ではロートレックのポスターでお出迎えさせていただきましたが、これは当時パリで流行していたカフェ・コンセールのためのポスターです。
店の名前である「ディヴァン・ジャポネ」とは「日本の長椅子」という意味。当時フランスでは日本趣味が流行していて、ロートレックもまた多数の浮世絵を蒐集していました。ここに見られる大胆な構図、平面的な色彩などはまさに浮世絵からの影響の一端を示すものといえるでしょう。多色石版を用い、新たな宣伝媒体となったポスターを芸術の域にまで高めた彼の功績は大きいといえます。
さて、展覧会も2日目の終わりをむかえようとする夕方、会社帰り(?)の方がご来館されました。どうやら前日も会場の前を通って、ガラス窓からみえる無数のワインが気になっていたそうです。ふだんは美術館や画廊に足を踏み入れることはないとのことでしたが、ワインが好きなので思わず入ってしまったそうです。会場内ではワインよりもアートラベルに興味津々で「この作品、本当に写真ではないの?」「これが人間の手でできたの?」などとスタッフに楽しそうに聞いていました。
芸術にいままで興味がなかった方も、こういった形で芸術好きになってくれるといいですね。
2021年6月10日(木)開催3日目
あっという間に最終日を迎えたこの日も見事に晴れてくれました。
最終日は閉館時間が早いにもかかわらず多くの方にご来館していただき、大盛況のなか『ロートレック没後120周年記念~ENISHI~』は無事閉館いたしました。
本展の名前にもある“ENISHI=縁”
展覧会が終わりに近づくなか、この言葉が頭に浮かび上がってきました。正確に表すのであれば、胸の内からこみあがってきたと表現したほうがいいかもしれません。
この3日間の展覧会のなかで数百名の方と出会い、さまざまなお話をさせていただきました。――芸術の力でみなさまに幸せな未来が訪れますように、この想いを届けるために開催しました。しかし、訪れてくださったみなさまから、たくさんの温かい言葉や、感謝の念、安らぎの笑顔をいただき、想いを届ける側のわたしたちのほうが、幸せな気持ちになりました。このようなご時世だからこそ、今まで以上に感じることのできた「一期一会」の喜び。本企画にご賛同いただき素敵なお作品をご発表いただいた芸術家のみなさま、実行委員会の先生方、シャトー・マルロメのみなさま、そしてコロナ禍のなか足を運んでくださったみなさま、この“ご縁”を忘れてはいけない、そう強く感じる3日間となりました。
関わっていただいた全ての方に感謝いたします。誠にありがとうございました。